介護職必見!ざわざわする芥川賞作品 【書評】スクラップアンドビルド

きっかけ

敬愛する介護の師匠青山幸広さんの主宰するRX組のホームページを見ていたところ、ブログの過去記事で紹介されていたのです。

ブログ | 介護アドバイザー青山幸広が教える、楽ワザ介護術。スーパートランス・排泄ケア・ひとり浴など。業務改革のプロ・ケアプロデュース・RX組

あ~~~~、読まなきゃよかった。
でも読むべくして読まされたんだろうな。
著者はまだ30歳になったかならないかの若さ。自分の子どもの年代。
この年代の若者が、しかも介護の世界にいるわけでもなく、小説というスタイルで
書いているんだから、どうせ、ステレオタイプな内容なんじゃないのと
たかをくくってしまってたから、なおさらぐさっと
そのとおりだよ、羽田君。
おっしゃるとおりだよ羽田君。
オトナであるワレワレがあがいているだけで、なんともかんとも、
行っても行っても砂上の楼閣しかないんじゃないかと
果てしなく絶望感にかられるときがあるんだよ、羽田君。

こんな風に書かれてたら読みたくなるじゃないですか!?(ブログを書いているのはマネージャーの五十嵐さんです)
Kindle本も出ていたので早速ポチッとしました。
「火花」のピース又吉さんと同時に芥川賞を受賞した作品でもあります。

どうだった?

介護職経験のある人はざわつく表現がたくさん!

つまり、薬漬けの寝たきりで心身をゆっくり衰弱させた末の死を、プロに頼むこともできないので。

プロの過剰な足し算介護を目の当たりにした。健斗は不愉快さを覚える。被介護者への優しさに見えるその介護も、おぼつかない足どりでうろつく年寄りに仕事の邪魔をされないための、転倒されて責任追及されるリスクを減らすための行為であることは明らかだ。

手をさしのべる介護よりよほど消耗する。要介護三を五にするための介護。介護等級が上がれば、国や自治体から施設側へ支給される金の額も上がる。健斗とやっていることは同じだが、動機の違いからして似て非なるものだった。

主人公の健斗が同居している祖父に行う「過剰な足す介護」、現場で無意識にやってる介護職多いよな〜。この本新人研修で使ってもいいじゃないでしょうか。
特に施設の介護職って”第3者の目”にさらされることが少ないから、家族がこんな風に思っていることをわかるのにいいと思います。

祖父の望む「自然な尊厳死」の手助けのためにどんどん手助けをする健斗。
でも介護を続けていると必ず愛おしさが出てくると思います。愛読書の7つの習慣の主体性の章にもあることが頭をよぎりました。
愛は動詞であり、気持ちは行動の結果に過ぎない。【書評】七つの習慣 | はれあめ!

健斗は足す介護をすることで祖父を愛する気持ちを無意識に持っていたんじゃないかな、なんて勝手に思ったりしました。

まとめ

テレビでも話題、作者の羽田圭介さんは介護経験ないそうです。
それでもここまで考えて書けるんだ、凄いなと素直に思います。
ぜひ施設や在宅で働く介護職に読んでみて欲しいです。
自分の介護観を磨くことができるんじゃないでしょうか。