書評を書くって難しくないですか?
書評を書き始めたんですけど、話が壮大になりすぎてタイプする手が止まっていまいました。皆さんはそういう経験ありませんか??
そんなことをfacebookにポストしたら茅ヶ崎の相談おじさん竜さんが
この辞書みたいな本の書評を介護の虐待に絡めて書こうと始めたんだけど、壮大になりすぎてタイプする手が止まってしまった。。。もっかいやり直そう(^^;
Posted by 金丸 直明 on 2015年12月4日
「複数記事にしたらいいんじゃね?ひとつめは率直な感想とかから書きはじめると楽かもーん」とアドバイスをくれました。
僕は書評を書くときこちらのものくろキャンプに参加したときに教えていただいたフレームワークを基にしています。
今回は竜さんのアドバイスをありがたくいただいて、長くなりそうだと思う3つの質問を一回ずつに分けて記事を書いていこうと思います。
書評のフレーム
以下ものくろキャンプのフレームに沿って記事の構成しました。
- この本を読んで知りたいこと
「状況の影響」と老人虐待は関係するのか? - 3つの質問
質問1
状況の影響とはなんだろうかを考える - 質問2
介護現場で「状況の影響」を受け虐待が起こっているのか?
また起こっていなかったら何が原因なのか? - 質問3
「英雄〜」の条件とそれを介護現場に活用するには? - 質問を通して実現したいことは?
虐待を無くす、少なくする方法は?
今日は
3つの質問の一つ目
状況の影響とは?
という質問から得た答えをまとめていきます。
本書に出てくる「状況の影響力」の事例
スタンフォード監獄実験
人が状況の影響から受ける力はとても強く、抗うのが難しいと本書の著者も書いています。
この本は今から41年前に行われた「スタンフォード監獄実験」を行ったフィリップ・ジンバルドーという大学教授の著書です。
「スタンフォード監獄実験」とは、無作為に選ばれた看守役と囚人役の学生のグループに模擬監獄で生活してもらい、いたって普通の学生が監獄、
看守、囚人という状況から人格にどのような影響を与えるか調べるはずのものでした。
本来2週間実験するはずでしたが、看守役の学生たちが囚人役の学生たちに「虐待」をはじめてしまったため途中で中止となったのです。
著作者であり、実験の責任者であったジンバルドー自身も状況の影響力に侵されてしまい、もっと早くに中止にするべきだったこの実験を止められなかったと述べています。
800ページ以上ある本書の半分以上がこの実験について詳細に書かれています。実験の準備から実験中の出来事やジンバルドーの気持ち、
また実験後に行われた報告会の様子や看守役、囚人役それぞれの感想までこと細かに。
そして全部を分析し、いたって普通の人がいとも簡単に状況の影響力で、尊厳を守るという倫理などは吹き飛ばされてしまうということを再確認するのです。
ミルグラム実験
次に出てくるのはミルグラム実験。これは権威への盲信についての実験でした。被験者は新聞の広告で応募したアルバイト。教師役になりサクラの生徒役の人に単語のテストをします。
そして白衣を着た実験の責任者(雇い主)から説明をうけます。この白衣が権威の象徴になるそうです。
実験は生徒がテストに間違ってしまった場合、被験者は電気ショックを与えなければなず、テストが続くに連れ電気ショックの電圧は上がっていくのです(実際は通電していない)。
電気ショックのレベルが上がっていき生徒は叫び声を上げたり、心臓の不調を訴えたりしますが白衣の責任者は実験を続けることを強要します。
被験者はもう続けたくないと痛切に感じていますが、実験者から「最後まで実験に付き合うと約束した」と契約を持ち出され実験を続けてしまうのです。
さらには実験の責任は取らなくていいと念も押されます。
驚くのは65%の被験者(教師役)が最高レベルの電圧まで実験をつづてたそうなのです。もしかして生徒の命に関わるかもしれないとわかっているのに。
まとめ
上の2つの事例の他にもイラクのアルグレイブ刑務所における虐待についての詳細な検証や、アメリカで実際に起こったストリップ詐欺などの例が出ています。
どの事例でも言えるのは状況の影響力(システムであったり権威であったり)はとてつもなく強いということだと思います。
いたって普通の人々に、いとも簡単に悪魔の仮面をかぶせてしまう。状況の影響力はまさにルシファー・エフェクトなのです。
しかしそのいたって普通の人々の中にも状況の影響力を排し英雄になる人がいると最後の章で語っています。その章は次の次の記事で紹介したいと思っています。
次回は介護現場で「状況の影響」を受け虐待が起こっているのか?また起こっていなかったら何が虐待の原因なのか?を考えてみます。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。ふ〜